雨をつれて歩くよじゃ

遅筆な文筆家という体の日々

5月19日(水)

[ 5月19日(水) くもり 36.4℃ 47.3㎏ ]

方向音痴なので今まで行ったことのない場所へ無事に到着できるかどうか、とても緊張する。最近はあっさり辿り着くことが多かったのだが、久々にやってしまった。

逆方向のバスに乗ってしまったのだ。

どんどん緑の多い景色になったところで、いや絶対こんなところにないわ!と確信に変わり、次の停留所で降りようと決めたのだがずいぶん進んでしまった。いや、長く感じただけかもしれない。もはや記憶がない。まさに頭が真っ白状態とはこのことだ。

「これは⚪︎⚪︎には行かないですよね?」

やっと停まったところで、わかりきった答えを聞かずにはいられなくて運転士さんへ確認した。

「えっっ?!」

思っていた答えとは違ったがこの一言で充分だった。1時間に1本しかないバスを待つよりも歩いた方が早いと教えていただいた。いま来た道をまっすぐ戻るだけでいいというのが不幸中の幸いだなと思いつつお礼を言うと、

「大丈夫?」

と言われた。

全然。だいじょばない。

と言ったところで何もしてくれないでしょ。「大丈夫?」と聞かれて「大丈夫じゃない」とは答えにくいもんだよ。いやでも、運転士さんも困ったのだろう。目的地とは真逆のところまで運んでしまって申し訳ないという使命感から思わず出ただけで、答えは求めていないのかもしれない。それとも、わかりきった答えを聞かずにはいられなかったのかもしれない。さっきのわたしのように。

結局、大丈夫とは返すことができないまま、改めてお礼を伝えて降りた。次からは運転士さんを困らせないように出発前に確認しよう。

Googleマップが目的地まで『あと9分』と教えてくれた。近いんだか遠いんだか、もうよくわからない。とりあえず進まないと。どしゃ降りのなか、ひたすら歩いた。

『あと5分』というところで目的地が見えてきた。約束の時間より30分ほど余裕を持って到着し、お昼を食べるつもりでいたお店を横目に、アプリを閉じる。

お昼抜きかぁ。仕方ない。遅刻することなく15分前に着いただけよし!さあ、お守り代わりに持ち歩いているチョコを開けるときがきたのだ。いざ。

……んんんまい。

折りたたみ傘がまったく役に立たないほどの雨にすっかりずぶ濡れになって冷え切った体と心がホッとした。カカオの実をかち割って食した先人の勇気と冒険心に敬意を払いつつ2個、3個。